- スコットランド/ローランド
- 輸入元:都光
リンドーズという言葉でピンと来た方はウィスキーを歴史から勉強された方でしょう。スコッチウィスキーが最初に文献に記されたのは1494年のスコットランドの王室会計の記録で「王の命令により修道士のジョン コーの8ボル(約500kg)の麦芽を与えてアクアヴィテ(蒸留酒)を造らしむ」と言うものです。
個人的にはアイルランドからスコットランドにウィスキー作りは伝播したと考えてますが、アイルランドの資料はクロノンマイスの年代記に記された「1405年の首長の死因はクリスマスにアクア ヴィテを飲みすぎたからだ」とあります。しかし、その肝心の資料そのものの信憑性がスコットランドの物に比べて若干怪しく感じます。
この文献に記されたものとしては確実に最初のウィスキーを作っていたジョン コーがいたのがリンドーズ修道院であり、その跡地に2017年に創業した蒸留所がリンドーズ アビー蒸留所です。酒命になっているMCDXCIVとはローマ数字で1494を意味します。この1494年は間違いなくウィスキーが最初に人類史に現れた年です。
熟成にはファーストフィルのバーボン樽、オロロソシェリー樽に加えてジム スワン博士が開発したSTR樽を使用しているというが売り文句。STR樽とはシェービング、トースティング、リチャーリングの頭文字で赤ワインに使用された樽の液に触れていた部分を削り取り、その部分を炎で焦がし樽の成分を出やすくしたものとの事ですが、私はトースティングとリチャーリングは同じ樽の内側を焦がす工程と考えてましたが違うんでしょうか?
スコットランドのクーパッレッジ(樽工場)を見学させてもらたことがありますが、その規模は白州蒸留所の比では無く、スコットランドの小さなウィスキーの蒸留所より見ごたえがありました。アメリカからバラされて運ばれてきたバーボンの古樽をスコッチ用のサイズに作り替える工場です。樽のタガ(輪っかの部分)は基本的に機械ではめ込みますが最後の仕上げにドワーフみたいな屈強な男がハンマーでガンガン叩いてますし、その樽が液漏れしないかをチェックするために、水と圧縮された空気を樽に詰め、ゴロンゴロン回して水が漏れないか確認するチェックおじさんなど、興味深い物でしたばかりでした。リチャーリングと言う樽の内側を焦がす工程も迫力がありますし、この焦がし方の匙加減でウィスキーの味も変わると言います。
このチェックおじさんは当然ダメ出しもするので職人から嫌がられていると工場の方から聞きました。会社の管理課とか総務、経理みたいなもんでしょう。漏れる樽は植物の繊維のような物でギッチリ詰め込んでいたことと記憶しています。
肝心の味はというと若いながらもバランス良くまとまっている印象です。樽の使い方が上手という事でしょうか?バニラやオレンジのような香味がありますし、46度というアルコール度数は程よい飲みごたえをもたらします。
コスパで言うなら決して良くはありませんがボトルは個性的です。エリアとしてはローランドですが、オーヘントッシャンのようにライトなタイプでは無さそうです。早熟になるように調整された感じがありますので、熟成させるとどうなるか楽しみではあります。