酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

キングスバリー ゴールド オルドニー 2008 14年 62.6°

キングスバリー ゴールド オルドニー 2008 14年 62.6°
  • スコットランド/スペイサイド
  • 生産者:キングスバリー
  • 輸入元:ジャパンインポートシステム

「オルドニー?ああ、いい蒸留所だよね」などと知ったかぶりすると、とんだ恥をかくウィスキー。そんな蒸留所はありません。これは蒸留所非公開のシングルモルトに一匙だけ別の蒸留所のモルトを加えたティースプーンモルトというものです。実質的にはシングルモルトですが、ラベルにも書かれているようにあえてブレンデッドモルトにしたものです。

 

売り上げ世界一のシングルモルトグレンフィディックとザ グレンリヴェットですが、グレンフィディックにはウィリアム グラント&サンズ社が所有する姉妹蒸留所とも呼べるバルヴェニーがあり、共にサントリーが輸入しているため知名度は高く、多くのモルトファンが知っていることでしょう。少々詳しくなると第三のグラント社の蒸留所であるキニンヴィがあることもご存じかと思います。

 

このキニンヴィは本来ブレンデッドスコッチの原酒を確保するために作られた蒸留所であり、シングルモルトとしての流通量はほとんどありません。多くのモルトファンがその名を知ったのは

正規代理店 三陽物産HPより

 

このモンキーショルダーと言うブレンデッド モルト(複数蒸留所のモルトウィスキーを混ぜたもの。コーンなどを原料とするグレーンウィスキーは使わない)にはグレンフィディックバルヴェニー、そして1990年創業のキニンヴィが使われていると謳われたころからでしょう。

 

オルドニーは公にはされてませんが、このキニンヴィに混ぜ物をしてリリースするときの暗黙の了解として使われる名前です。

 

真っ先に感じるのはバルヴェニーのような蜂蜜やオレンジのような甘い香味ですがバルヴェニーほどどっしりとはしておらず、14年熟成らしい複雑さを持ちつつもどこかさっぱりとしています。グレンフィディックバルヴェニーの中間のよう、と表現するのは簡単で安直ですがそこまでシンプルでもありません。その表現の違和感となる複雑さをたどっていくとグレンフィディックバルヴェニーには感じられないスパイスのような香りを感じます。

 

オルドニーはレアなためちょっとしたウィスキーファンとしては是非ともチャレンジしてみたいウィスキーとなっており入手が難しく、輸入元も案内から24時間以内には完売しているものです。この1本も案内直後に自分の分は確保したのに、完売案内後にお客さんからご要望。立場上、先に予約したとは言えお客さんを差し置いて自分だけ買うわけにもいかず、ジャパンインポートに泣きついて何とかもう1本確保したという経緯があります。

 

そうそう機会があるとは言えませんが、興味があるなら機会は逃さないようにしましょう。