モラン セレクション
ウィスキーがガンガン値上がりしたりそもそも入手困難だったり、買えたとしても品質が落ちていたりと価格に対して満足感が得難くなってきており、まだまだ日本では人気が無いカルヴァドス(リンゴ、洋ナシで作るブランデー)にも手を出しています。
元々、バーでは時々楽しんではいましたが1本購入するのはこれが初めてです。こちらはモラン社のスタンダード品で2000円余りで購入できます。シングルモルトでは以前はグレンフィディック 10年がこの程度で購入できましたが今やグレンフィディックは3000円程度します。
ウィスキーと異なり、原酒不足なんてささやかれない世界ですから品質の劣化もそうそうないでしょう。モランはこれの格上のオル ダージュ 15年をバーでいただいたことがありますが、15年とセレクションでは格が落ちるというより性質が違います。15年は熟成間と深みがあり、長い余韻を楽しめる蒸留酒ですが、こちらは入門編だけありリンゴの素直な果実味と香りとほどよい熟成の香りがバランスよく混ざり合っています。高級車には高級車の良さがあり、大衆車には大衆車の良さがあるといった具合でしょうか?
どの酒にも思うことですが、最高級品、フラッグシップとも言える品が高品質なのはある種当然です。高いんですから。大切なのはスタンダード品、一番多く飲まれるものに手抜かりがないブランドこそ本物と思っています。スタンダードが素晴らしければ上のクラスにも興味が湧くというものです。
シャンパーニュの生産者が何人か同じような事を仰ってました。「最高級の物を少量作ることはそう難しい事ではない。ある程度以上の品質を保ったまま大量に安定して生産することが何より大切で難しい」
入門用だけに深み、複雑さはさほどありませんがこの価格なら納得です。むしろ気楽に飲める味わいは他人に薦めやすい1本だと思います。