酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

ハンターレイン オールド モルト カスク グレンロセス 8年 2011 59.8°

ハンターレイン オールド モルト カスク グレンロセス 8年 2011 59.8°

「ダグラス レインなら聞いたことあるけどハンターレイン?」と思われる方もいるかもしれませんが、1948年創業のボトラーズ(創業当時は海運会社)のダグラスレインの代表を務めていたスチュワート レイン氏が2013年に立ち上げた会社がハンターレインです。ダグラスレインは弟のフレッド レイン氏とフレッドの娘のキャラ レイン氏が引き継いでます。

 

ダグラス レインのメインのシリーズであったこのオールド モルト カスクは分社したハンターレイン(通称OMC)が継承している当たり円満分社かと思う一方で、それぞれ自分の子供に会社を継がせたかったのかな、とも思ってます(ダグラスレインはフレッドと娘のキャラ、ハンターレインはスチュワートとその息子2人とダグラスレインのスタッフで運営)。〇塚家具ほどではないにせよ兄弟で方針が違ったと聞きます。

 

シリアルで有名なケロッグも、シリアルを最初に病院食として作った医者のジョン ハーベイ ケロッグは、あくまでシリアルは病院で患者に提供したいと考えていた一方で、その弟のウィル ケース ケロッグはこのシリアルをビジネスチャンスと捉え、広く販売したいという野望をもち、半ば喧嘩別れに近い形で別々の道を歩み、弟が作った会社が今日に至るそうですのでそんなもんでしょうか。有名な医師であった兄は弟を見下していた印象ですが、最終的に世界的に有名になったのは弟の方でした。

 

ダグラスレインはシングルモルトもやってますが、ビッグピートやスカリーワグのような量が売れるブレンデッドモルトがメイン。ハンターレインはシングルモルトをメインに販売している印象です。

saito0701.hatenablog.comこちらのスカラバスも兄が作ったハンターレインのお手頃シングルモルトです。

 

このグレンロセスは最初に見積もりを見たときに「8年熟成で1万円とはシングルモルトの価格も上がったものだな」と思いましたがよく見ればそのアルコール度数は59.8°とまぁまぁ強烈。グレンロセスは個人的に大好きな蒸留所なので、贅沢な自宅用にと夏のボーナスを使って1本購入。

 

色調が美しい。ストレートで飲んでみましたところやはり強烈ですが、甘い香味も強いため飲んでてつらいという事もありません。焼いたオレンジのような印象です。しかし、さすがにアルコール度数が高く、繊細な部分が分かりにくいためちょっと加水。

 

加水には水差しのようなものを使ってもいいのですが、ほんの少量ずつ加水して味の変化を楽しもうと思うとこちらのウィスキーウォータードロッパーがあると非常に便利です。

 

スポイトのような道具ですが、ゴムキャップのような無粋で雰囲気を壊すものはついてません。上部に穴が開いており、水に差し込んで

その穴を抑えると水がとれます。これをウィスキーのグラスに持っていき親指を離して少量ずつ加水します。撮影用にこれだけ水を取ってみましたが初めて飲むウィスキーは数滴ずつ加水することをお勧めします。加水した後は良く馴染ませましょう。

 

少量加水し、体感では48°くらいになったところでフルーツの香味がより明確になりましたが焦げた樽のような香味も余韻にはっきりと出てきました。それでも元の酒質がしっかりしているため、「しゃばしゃばになった」感じはありません。ストレートでもいいのでしょうが、やはり少量加水した方が花開く感じがあります。

 

ボトラーズのシングルモルトの世界は一期一会で、同じボトルを次に買おうと思っても滅多に買えるものではありません。こちらのボトルもJIS向けのボトルで700本余りの限定品です。このブログを書いている時点では多くの通販ショップで販売されています。8年熟成と言え、中々いい味わいでした。