酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

ヴァッレ レアレ ヴィニエート サンテウザニオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2018

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ヴァッレ レアレ ヴィニエート サンテウザニオ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2018
  • イタリア/アブルッツォ州
  • 生産者:ヴァッレ レアレ
  • 輸入元:ファインズ
  • セパージュ:モンテプルチアーノ100%

宅飲みワインとしてはかなり奮発の部類になる税込みで3000円前後のワインです。

saito0701.hatenablog.com

この生産者の派手さやインパクトは無いものの、芯のある綺麗な味わいが好きでちょいちょいリピートしているのですが、この上級品はこれが初めて。

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ロースハムと合わせましたがまぁまぁといったところ。特別な相乗効果は感じませんがイタリアを代表する赤だけに無難に合います。胡椒も効いてるタイプのハムだったので、多分ローヌ、欲を言えばシラーが多めの赤の方がこのスパイシーなハムには合ったかもしれませんが、そんな都合よくローヌの赤をストックしてはいませんでした。タヴェルならあったのですが、ちょっと特別なヤツだったのまだ開けられません。

 

強めの味の料理でしたが、まっすぐでバランスがいいワインのせいか、料理に振り回されたりはしません。スパイシーで濃いめの味のハムの後に飲んでも味わいは崩れず、口の中を整えてくれます。漫画のハイキュー!!で例えるなら、派手さは無いものの無難に役割をこなす澤村大地みたいな位置づけです。こういう人がいるから世の中は回っているんです。

正直、この生産者はスタンダード品が食事に合わせるワインとして申し分が無いため、1.5倍の価格の上級品には価格差を感じさせるような差を私の舌では感じ取れません。閉じている、というほどでもないですし。

 

今日は料理と合わせた、というよりつまみでワインを飲んだという印象だったので、2日目に期待でしょうか、、、、

ゴードン&マクファイル コニサーズチョイス ダフタウン

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ゴードン&マクファイル コニサーズチョイス ダフタウン
  • スコットランド/スペイサイド
  • 生産者:ゴードン&マクファイル社
  • 輸入元:ジャパンインポートシステム

有名蒸留所のシングルモルトは多数ありますが、そのハウススタイルとでもいうべきでしょうか?蒸留所のスタイルに合わせて蒸留所内の複数の樽を混ぜ合わせることが普通ですが、このようなボトラーモルトはその蒸留所の別の表情を見ることができます。また、通常はブレンデッド用に回されてしまい、蒸留所単一の味わいを確かめることができないものもありますが、ボトラーモルトならそれも可能にしてくれます。

 

ゴードン&マクファイル社(以下GM社)はそんな独立瓶詰業者(インディペンデントボトラー)の中でもパイオニアです。GM社には下記のシリーズがあります。

 

発見という名の入門者向けのシリーズ。入門者向けと言っても手ごろな価格で蒸留所のスタイルが分かりやすいというものですから、初心者以外にもオススメです。

  • DISTILLERY LABEL(蒸留所ラベル)

通常、ボトラーモルトは蒸留所から気に入った樽を購入するものですが、こちらはGM社が指定した樽に蒸留したての原酒を詰めてもらい、熟成させたGM社と蒸留所の信頼がなせるシリーズ。もちろん、GM社でしかリリースされてません。

  • CONNOISSEURS CHOICE(コニサーズチョイス)

最も歴史の長いGM社の看板とも言えるシリーズ。コスパ重視。一般的なボトラーズ物ってヤツです。価格のわりに上手に仕上がったものをコニサー(鑑定家)が選んだ樽を瓶詰したものです。画像はコレ。

  •  PRIVATE COLLECTION(プライベートコレクション)

特別なヤツです。ジャパンインポートシステムからの案内も少なく、あったとしても結構な価格の物が多く、レアかつ高級品が多い。

  • GENERATIONS(ジェネレイションズ) 

最近リリースされているのでしょうか?お目にかかったことがありません。

このダフタウンは元々ブレンデッドスコッチのベルの原酒にほとんど回されてしまっていたため、シングルモルトではなかなか見かけなかったのですが、オフィシャルでシングルトンオブダフタウンがリリースされてからは比較的入手しやすくなりました。こちらのコニサーズチョイスの物は価格の割りには高品質で、ボトラーズ物とは思えないほどバランスがとれており、飲み飽きしません。スペイサイドモルトの一つの基準のような仕上がり方です。

 

この旧ラベルというのが気に入って購入したのですが、中身も充実していました。そろそろ無くなりそうなので、同じものか似たようなものを購入しておこうかな。

ラ ジャラ ピノ グリージョ ロゼ スプマンテ

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ラ ジャラ ピノ グリージョ ロゼ スプマンテ
  • イタリア/ヴェネト州
  • 生産者:ラ ジャラ
  • 輸入元:ファインズ

輸入元であるファインズはサントリーの子会社ですが、親会社と違って高品質のワインに特化しており、信用できるインポーターの一つです。有名生産者は多数取り扱っていますが、やはり筆頭はドメーヌ ド ラ ロマネ コンティでしょう。

 

大衆向け商品を扱っている会社が高品質ワイン専門の子会社と持つことは珍しくありません。これは個人的な感情、、、でもないかもしれませんが、酒屋やレストランで高そうなワインを見たり飲んだりしたときに輸入元がサントリーやらキッコーマンだとちょとテンション下がります。そんなワケで下記有名メーカーはワイン専門部隊がいます。

()内は有名生産者

 

サントリー:ファインズ(DRC、プリューレ・ロック、ブシャールP&F)

宝酒造:ラックコーポレーション(サロン、ルフレーヴ、ギガル)

キッコーマン:テラヴェール(ゴッセ、フィリップ・パカレ、ユエ)

 

日本リカー(ルイジャドなど)の親会社はメルシャンですが、そのまた親はキリンビール。さらにキリンビール三菱グループの一員ですし、日本リカーの株の一部はCOMPAGNIE CHAMPENOISE PH-CH. PIPER HEIDSIECK(パイパー・エドシック)が保有しており複雑です。

 

このラ ジャラはプロセッコで有名なヴェネト州の生産者ですが、所有している畑の位置がその区域内でないためか分かりませんが、ラインナップにプロセッコはありません。しかし、有名なプロセッコを名乗るためには様々な規定があるため、その規定から外れるためかもしれません。実際に、コレに使われているピノグリージョはプロセッコには使用できないブドウです。

 

ピノグリージョは産地で呼び名が変わります。ピノグリ(フランス)、グラウブルグンダー(ドイツ)。これをワインの世界ではシノニムと呼びます。生物的に同一ですが、ブドウは生産地次第で様々な個性を発揮するものですから、同じブドウですがワインとしては違う意味合いを持ちます。

グリージョとは灰色という意味。ピノノワールノワールはフランス語で黒)より薄い色のブドウで、そのピノノワールの突然変異で生まれた亜種と考えられており、DNAも酷似してます。その一方で熟すときに酸を大きく失うため、ピノグリージョを使った高級ワインはほぼ見かけません。ですから、庶民にとっては大切なブドウです。酸を残すため早めに収穫することもあり、ピノグリージョを使うワインは比較的手ごろで軽やかですがフレッシュな味わいを楽しめます。

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前置きが長くなりましたが、このワインは主張が穏やかなため食事と合わせやいのです。もちろん、生ハムのようなおつまみとも相性抜群。バランスがいいため飲み飽きもしません。口に含んだ時の印象は泡がキメ細かくクリーミーですが、高級感のある太いボトルの割りに突出した個性はありません。ワインを主役と考える人には物足りないかもしれませんが、食事と合わせるものと考える人にはお勧めしたいワインの一つです。

キリン 本搾り オレンジ

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キリン 本搾り オレンジ

saito0701.hatenablog.comレモンも好きですが、どっちかと言えばオレンジの方が好きです。もっと言えばおつまみと一緒に映画やアニメ観ながら飲むならオレンジで、食事と一緒に飲むときはレモンかな、という程度の差です。

 

画像見れば分かりますが、レモンの方が果汁12%であるのに対して、オレンジは45%とほぼ半分、さらにアルコール度数もレモンが6%でオレンジは5%と微調整を行ってますね。

 

Amazonのランキングでは缶チューハイ全体(350mlと500mlは別扱)で本搾りグレープフルーツが2位、同レモンが6位、ピンクグレープフルーツが25位、ライムが49位オレンジは50位にすら入れていません(2021年10月27日0時)。サントリーのこだわり酒場のレモンサワーが1位です。少し酸味が強くて口に合わなかったのですが、缶チューハイをケースで購入するようなヘビーユーザーにとってはこちらの方がいいんでしょうか。

 

ワインを初めて飲んだ時はこの酸っぱさがイヤだったものですが、自分でカクテルを作るようになると酸の重要性が理解でき、さらにワインを勉強していくと食事と合わせるには酸が一つの大きなポイントになることがわかってきました。そんな見方をすればこだわり酒場が人気というのもうなずけます。

 

自分が好きなお酒が人気が高すぎれば品薄や値上げの心配があり、人気が低すぎれば終売の恐れがあります。ワインで言えば、私はロゼが食事に合わせやすくて好きなのですが日本では人気が無さ過ぎて、普通に酒屋に足を運んでもめぼしいものはほとんどありません。結局、欲しいワインは自分で仕入れて自社倉庫で購入しています。

 

本搾りのオレンジは程よい人気で、考えようによってはいいのかもしれませんが、欲を言えばもう少し飲んでもらいたいものです。

サントリー 196℃ 秋梨

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サントリー 196℃ 秋梨

-196℃と言えばストロングゼロが代名詞となっている缶チューハイの人気ブランドです。レモンを-196℃で瞬間凍結させてフレッシュな状態で粉砕→仕込みに入るため、果物の成分が熱による劣化を防ぎ、フレッシュな味わいを残せるというのがウリです。

 

缶、HPのどちらを見ても果汁を加えているわけでは無いため、この手の商品によく書かれている「果汁〇〇%」の文言は無く、「梨浸漬酒使用」と書かれているのみです。それでも飲んでみればまぁまぁ果実感はあるので技術ってすごいなと思わずにはいられません。

 

私の出身地も梨の名産地ではないものの、そこそこ梨農家があるため、子供のころ母と梨狩りに行った思い出があります。成っているものを採ってすぐに食べるため、冷えては無いけどもぎたての梨は大変美味しい物です。加減を知らない子供だったので下痢するほど食べました。

 

梨という口当たりの優しい甘さの性質を考えてなのかアルコール度数はほろよいより1度高いだけの4度。ストゼロでガツンと酔うのが楽しい人には物足りないかもしれませんが、これはこれで美味しい缶チューハイです。

グランツ ファミリーリザーブ

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グランツ ファミリーリザーブ

ちょっとウィスキーの詳しい方ならピンとくる、この特徴的な三角ボトルは世界有数の販売量を誇るシングルモルトであるグレンフィディックと同じ会社が作るブレンデッドスコッチです。

 

画像はファミリーリザーブですが、内容そのままリニューアルし、現行品はトリプルウッドとなってます。値上げしたかったんですかね。実際、かつては輸入元である三陽物産でも販促のために条件(単純な値引き、11本買ったら1本は無料、仕入れ数量に対してリベートと呼ばれる販売協力金の支払いなど、店頭価格を下げ出荷量を増やすための特売条件)を付けていたため、余裕で3桁価格でしたが、トリプルウッドになってからは全くそんな価格は見られません。

 

トリプルウッドですが

  • ヴァージンオーク樽:少し刺激のある味わい
  • アメリカンオーク樽:バニラなどの甘い香味
  • ファーストフィルのバーボン樽:柔らかく、まろやかな口当たり

と言った特徴をもち、これらを巧みに組み合わせたバランスのいい味わいになってます。また、この三角のボトルは

  • 火:蒸留、グレンフィディックでは一部直火加熱(焦げ付くから難しい)
  • 水:言うまでもなく良質な仕込み水が求められる
  • 土:大麦、ピート

この三つを意味するというので、何かと3がキーとなっている会社ですね。

 

ウィリアム グランツ&サンズ社はシングルモルトのリリースが異端だった時期に周囲の

「アレは無いわ」という目を押し切り、シングルモルトを売り出して成功させた、現在まで続くシングルモルトブームの先駆者であり、2015年にグレンリヴェットに抜かれるまでシングルモルトとして最も売れていたグレンフィディック保有する会社です。そしてグレンフィディックのみならず、バルヴェニー、キニンヴィ、アイルサベイの他、グレーンの蒸留所であるガーヴァン蒸留所も所有し、蒸留量ではスコットランド3位の企業です。そんな企業がディアジオやペルノなどの傘下に入らず、独立しているのですから驚きです。もちろん、独立企業とした家族経営の会社としてはスコットランド最大。

 

味わいはバランスが良く、まろやかで飲み方を選ばないのですが、私見を言わせてもらえばパンチが足りないため、ソーダで割ってしまうと他のお気に入りに一歩及ばないため、もっぱら水割りかロックで楽しんでいます。私は食中はハイボール、その後のリラックスタイムはロックやストレートで楽しむことが多いため、これはコレで出番が多いウィスキーです。オフィシャルのHPではコーラ割りとロックを勧めてます。コーラもいいかもしれませんね。コーラ割りなら何でもいいんですけど。

 

正規代理店である、三陽物産ではこの他に

  • 18年
  • トリプルウッドスモーキー

をリリース。どうもその他にもトリプルウッドスモーキーなど多数出ているようですね。このスタンダードしか飲んだことが無いので、いずれは試してみたいものです。

 

追記:酒屋で購入した時、ファミリーリザーブとなっていたためそのつもりで購入していたのですが、すでに入れ替わっていたことに後から気が付きました。画像はトリプルウッドです、、、、

 

 

ハンターレイン スカラバス

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ハンターレイン スカラバス

人気の高い蒸留所非公開のアイラシングルモルト。私はワインにせよウィスキーにせよ、クラシックなボトルデザインが好きなのですがこれはオシャレですね。

 

生産者のハンターレイン社はいわゆるボトラーズ会社、もしくは独立瓶詰業者と言われる、蒸留所から気に入った樽を購入し、独自のラベルで瓶詰する会社です。2013年にダグラスレイン社から喧嘩別れ分離した会社です。輸入元のジャパンインポートシステムは世にも珍しいダグラスレインとハンターレインを同時に取り扱っている会社です。恐らく世界を見渡してもそんな会社は無いでしょう。

 

そのハンターレイン社は2018年にアイラ島の9番目の蒸留所となるアードナホー蒸留所を作った会社でもあります。はやくここの原酒を試飲してみたいのですが2021年現時点ではまだ出回っていませんし、そのスケジュールも決まっていません。今から楽しみです。

 

このスカラバスとい名前は古ノルド語で「岩の多い場所」という意味ですが、スカラバス蒸留所がかつて存在したそうです。しかし、創業は1817年、翌年の1818年に閉鎖という最も短命だった蒸留所で当然のことながら原酒など残っておらず、どのようなスタイルだったかすら分かりません。

 

saito0701.hatenablog.com

同じ蒸留所非公開アイラであるピーツビーストと比べると、こちらはもう少しフルーティーですね。アルコール度数も程よい強さの46度。余韻も長めです。これで5000円はしないのですからコストパフォーマンス高めの1本です。こちらのスタンダード品は比較的入手しやすいのですが、10年熟成物はジャパンインポートでも案内すれば瞬殺される人気モルトです。スカラバスを気に入ったのなら試す価値はあるでしょう。