酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

蔵の師魂 かめ壺貯蔵

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蔵の師魂 かめ壺貯蔵
  • 生産地:鹿児島県
  • 生産者:小正醸造

saito0701.hatenablog.com

こちらの小鶴と同じ、小正醸造が作る芋焼酎です。しかし、小鶴は様々な酒屋やスーパーでも販売(一般流通)していますが、こちらの蔵の師魂は特約店と呼ばれる会社でしか取り扱いが許可されていない商品です。

 

日本酒や焼酎には特約店と呼ばれる決められた会社でしか扱えない商品が多数あります。定価販売厳守(値引き禁止)のものが多く、物によっては年間販売数が定められているものもあります。取扱店としてはヨソではあまり売ってないものを扱えるメリットがある一方で、その商品を力を入れて販売する必要があります。有名銘柄は特約店制の物が多いですし、そもそもすべての商品が特約店制という蔵も少なくありません。

 

こちらの蔵の師魂は一般的なタンク貯蔵ではなく、ラベルに書かれているようにかめ壺で貯蔵され、複雑な味わいを持たせています。芋は金峰町の黄金千貫、麹に使用する米は南薩摩産コシヒカリ

 

芋の香りはしっかりとしてますがわざとらしくなく、複雑でバランスが取れています。お湯割りで楽しんでいますが、味がぼやけたりしません。

 

おそらくどこで買っても同じ価格のはずですので、安い店を探し回る必要がありません。さほど色々芋焼酎を飲んでいるわけでもありませんが、他人に勧められる焼酎です。

琉球泡盛Shirayuri イヌイ菌仕込

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琉球泡盛Shirayuri イヌイ菌仕込

生産者HPによれば

米国最大の出品数を誇るスピリッツコンペ「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 2021 (SFWSC)において、泡盛部門【最優秀金賞(ダブルゴールド)】と【ベストオブクラス】に選ばれました。

とありますが、納得の味です。

 

熟成をさせない、いわゆるホワイトスピリッツと呼ばれるお酒の中では個人的には5本の指に入ります。改めて残りの4本は?と聞かれても素晴らしいジンやウォッカ、ラムもテキーラもあるし、グラッパもオー ド ヴィー ド フリュイ(フランスのフルーツブランデー)にも忘れがたいものがあるため難しいのですが、それでもこのイヌイは美味しいです。

 

分類上、泡盛であることに間違いはないのですが、ティスティンググラスなどで楽しんでいると上質なアグリコール ラムを飲んでいるような気になります。

 

実際、生産者の方も泡盛というよりはラムやテキーラをバーで楽しむ方向けに作ったと言いますが、そういうお酒にあることに疑いはありません。泡盛はロックでじっくり飲むかや水割りでグビグビ飲むかと言う楽しみ方ばかりしていましたが、こんな泡盛もあるとは思いませんでした。

 

製品名に入っている「イヌイ菌」とは戦前の泡盛製造に使われていた黒麹とかで、口当たりは柔らかくも力強く複雑、芳醇。アルコール度数44°というのも絶妙な調整だと思います。低ければインパクトに欠け、高すぎればこの芳醇な香りが吹き飛ばされてしまいます。

 

かつて漫画の美味しんぼ

「素晴らしい文学がある国には素晴らしいスピリッツがある。ロシア文学ウォッカ、フランス文学とコニャック、イギリス文学とウィスキー(スコッチじゃね?)、アメリカ文学とバーボン」

「酒こそ文化にスピリットを与える」

蒸留酒=スピリット=精神。酒とは精神そのもの」

「日本にはスピリッツなど無い!」

と言っていたおっさんが泡盛の古酒(クースー)で考えを改めた話(10巻第4話)がありましたが、そのおっさんに飲ませてやりたい優れたスピリッツです。過激ですけど言ってることは嫌いじゃないので。

マルゴー デュ シャトー マルゴー 2014(2日目)

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マルゴー デュ シャトー マルゴー 2014(2日目)

お昼に外食し、夜もあんまり食べる気もせず妻も夕食を用意する気にならなかったようでレトルトのハンバーグのみの夕食となりました。

 

基本的に私はワイン1本を一晩で開けることができないため、半分残して冷蔵庫で保管し、翌日に少し室温に戻して二日目の変化を見てみるようにしています。

 

saito0701.hatenablog.comこちらのマルゴー デュ シャトー マルゴーはかなり酸味が強かったのですが2日目でもそれは変わりません。しかし、少しはその酸味も和らぎ香りも広がりを見せています。やはり2014はまだ飲み頃ではないのでしょう。2014ヴィンテージなんて他のワインではエッジ(グラスに注いだ時に液面がグラスに触れる縁の部分)がややレンガ色っぽくなり、熟成感が出てもおかしくないようなヴィンテージですが、こちらは色調も味わいも若々しい印象を受けます。

 

2日目にしてもさほど香りが開かない当たり、もう6~10年程度寝かせると面白いかもしれません。とりあえず今開けてしまったことを後悔はしてますが、これも勉強と割り切ります。

 

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マルゴー デュ シャトー マルゴー 2014

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マルゴー デュ シャトー マルゴー 2014
  • 生産国:フランス/ボルドー地方メドック地区マルゴー村
  • 生産者:シャトー マルゴ
  • 輸入元:ファインズ
  • ブドウ品種:カベルネソーヴィニヨン49%、メルロー49%、プティヴェルド2%

宅飲みがテーマなのに全く宅飲みにふさわしくないワインです。ちょっと安く購入できるタイミングがあったので背伸びして購入。妻には内緒です。

 

フランスのボルドー地方には押しも押されぬ五大シャトーと呼ばれる生産者がおり、その頂点の一角であるシャトー マルゴーが作るワインです。

 

シャトー マルゴー自体は2022年現在、あまりいいヴィンテージ(生産年)でなくても4~5万円以上、優れたヴィンテージでは倍以上することは珍しくありません。しかし、優れたワインを作るために選りすぐりのブドウを使う必要があります。選りすぐられなかったブドウは集められ、セカンドワインと呼ばれる格下のワインに使用されます。シャトー マルゴーのセカンドワインは「パヴィヨン ルージュ デュ シャトー マルゴー」。ちなみにそんなセカンドですら3万円近いという世界です。

 

このマルゴー デュ シャトー マルゴーはそんなセカンドにすら使われなかったブドウで作られたサードワインで、2009年から作られています。書き方がアレですがそれでも1万円程度が相場というのが驚きです。

 

セカンドだのサードだの守銭奴め!と思うかもしれませんが、これら格下のワインと用意しないとちょっとでも良くないブドウは売却するか無理して使うしかありません。無理して使えばファーストラベルの質は下がり、売却すればファーストラベルの値段がさらに上がってしまいます。これを防ぎつつファーストラベルが手の届かない人にもその世界をちょっとだけ見せてやろうというのが目的です。それでも高すぎるんですが。

 

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2014ですから飲み頃かと思い抜栓。コルクからふんだんに赤い果実の香りを感じます。これは期待できそうです。

 

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そんなワインなのに宅飲みの悲しさで肉ともやしの炒め物と合わせます。流石に滅多に開けないワインなのでデキャンタージュしました。空気と触れさせることで閉じている香りが広がりやすくさせるための飲み方です。デキャンタを洗うのが面倒くさいのでそれなりに覚悟を決めたワインにしか使いません。

 

ボルドー地方のワイン、特にカベルネソーヴィニヨンを多く使っているワインは渋みが強いものですが、マルゴー村の物は比較的酸味が強く女性的と表現され、そのマルゴー村の頂点がこのシャトーマルゴー(のサード)です。知らずに飲んだら私の舌ではボルドーのワインとは思わないと思います。

 

デキャンタージュして尚「硬い」。グラスには多種多様な花やベリー系果実の香りを感じますが、舌に感じる味わいは酸味が支配的で正直素直に美味しいとは感じません。私の舌がそれまでと言えばそれまでですが。

 

サードとは言えもっと寝かせるワインなのかもしれません。ゆっくり飲んでいるうちにだんだんと味も香りも広がっていきましたが、逆に言えば8年前のワインとは思えないほど若々しく荒い印象です。ソムリエの資格は持ってますが、ソムリエを仕事にしていたとしても中々お客さんには勧めにくいというのが率直な感想です。同じ価格帯なら同じくマルゴー村のシャトー ディッサンなどを勧めます。

 

いつものごとく、半分は簡単に栓をして冷蔵保管して翌日の変化を楽しみにしてみましょう。

グレンスコシア キャンベルタン 1893

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グレンスコシア キャンベルタン 1893

かつてキャンベルタウンには34もの蒸留所があり、「ウィスキーの首都」と呼ばれるほどの一大ウィスキー生産地だったが第一次世界大戦アメリカの禁酒法、安価な燃料のドラムレンブルの炭鉱の石炭が枯渇、世界恐慌と様々な要因により次々と蒸留所は閉鎖され、このグレンスコシアとスプリングバンクを残すのみに。しかし、1872年創業のグレンガイル蒸留所が2000年に再スタートをしたため、現在キャンベルタウンで稼働している蒸留所は3つとなります。

 

このグレンスコシアの歴史も波瀾万丈だったようで所有者が何度も変わり、かつての所有者の一人、ダンラム・マッカラムは借金苦でキャンベルタウンロッホに身を投げ、その幽霊が蒸留所内に出没するという噂は有名。

 

スプリングバンクが値上がりし、その上出回る数量も大きく減る中でグレンスコシアはかなり入手は容易。輸入元の都光商事は酒屋のリカーマウンテンのグループですから、近くにお店がある方はそちらでも購入できるでしょうし、都光自体別の酒屋にも卸売りを行っている会社ですから、探せば簡単に見つかると思います。ワインは微妙ですがウィスキーはかなり面白いものを扱っているインポーターです。

 

一応、こちらの1893は創業年を入れた限定品扱いとの事ですが1Lで5000円程度。昨今のシングルモルトの価格高騰を考えると良心的な価格です。スプリングバンク10年が馬鹿げたプレミアム価格になってますのでなおさらです。

 

気になるお味はというと、熟成年数はやはり若い印象は否めませんが、キャンベルタウンらしい、潮やほどよいピート、それに後熟に使ったというペドロヒメネスシェリーの甘味がバランスよく混ざり合ったやや個性的な味わいです。有名銘柄がガンガン値上げしているのでこういったマイナー、なれど良質というお酒を探すのが必要な時代になってしまいました。

クレマン クレオール シュラブ リキュール ドランジュ

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クレマン クレオール シュラブ リキュール ドランジュ
  • 生産者:クレマン
  • 生産地:フランス領マルティニーク
  • 輸入元:ジャパンインポートシステム

クレマンはラムの名門がひしめくマルティニーク島の中でもリーダー的生産者。輸入元であるジャパンインポートシステムはシングルモルトから高級ワインまで取り扱っている会社ですが、こだわりが強そうなのがこのラム。

 

弊社で主に扱っているラムは通常のものではなく、「フレンチ・クレオール・ラム」というカテゴリーに属するラムです。この「クレオール」という単語は、カリブ海を中心とするフランスの海外県やその人々を指し、本国とは異なる独自の文化や歴史などの発展を反映した言葉です。フランス本国でもさまざまなラムが販売されておりますが、弊社でご案内しているのは「クレオール」の手によって贅沢に作られた、こだわりのフランス産ラムなのです。 

(輸入元HPより)

 

アグルコールラムやインダストリアルラムの話を書いていると長くなるので割愛。ラムにご興味がある方は是非調べてみてください。

 

こちらはそんなラムの会社が作る「シュラブ」という呼ばれる漬けラム。漬けこまれる果物はパイナップルやオレンジ、マンゴーなどで、これにシナモンやバニラビーンズなどと言ったスパイスを合わせて漬け込み、複雑さを持たせます。日本でいう梅酒のような感覚なのでしょうか。

 

オレンジの皮に由来すると思われる凝縮した香りと果肉に由来すると思われるジューシーさを感じたのちに余韻にスパイスを感じます。同じオレンジリキュールと比べるなら、グランマルニエは熟成感よる複雑さがありますが、こちらは原酒の良さが際立ちます。アタックにはアルコールを感じますがこれが良質なラムの物だとすぐに分かります。

 

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近くのドラッグストアで叩き売りされていたのでこのリキュールと合うと思い購入。

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さらに妻からもらったバレンタインのチョコも合わせてみます

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このシュラブの色調がまた美しい。ジャパンインポートシステムでもスポット品のような扱いで、常時扱っているワケでもないので興味がある方は見かけたときに買うべきです。一度欠品すると次回の入荷分からないとの事。

 

甘いものとお酒の組み合わせはあまり好きではないのですが、こちらは悪くありません。むしろいいです。

 

神戸居留地 LAS コーラ

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神戸居留地 LAS コーラ

saito0701.hatenablog.com昨日に引き続きコーラです。メーカー不明ですが国産業務スーパーで42円で売ってるアレです。住宅展示場のモデルハウスで冷蔵庫に入ってそうなデザイン。

 

暖かくなってきて妻が唐突に「甘い飲み物が飲みたくなった」と自転車で近所の業務スーパーに行ったかと思ったら買ってきたのがコレでした。以前から存在は知ってはいましたが価格と言いデザインといい、怖くて手が出なかった商品です。

 

私はコカコーラ以外のコーラは受け付けない、とまでは行かなくても違和感しか感じないほどにコカに慣らされてしまっていたことも手が伸びなかった理由ですが、この機会に飲んでみたところ意外といけます

 

この味は多分、私の中では駄菓子のコーラ味のコーラなのでしょう。ガムとか粉末コーラとかみたいな感じの。まさか液体で存在するとは思ってませんでした。三ツ矢クラフトコーラよりは口に合います。というか結構好きな味です。