- 沖縄県
- 生産者:池原酒造
生産者HPによれば
米国最大の出品数を誇るスピリッツコンペ「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション 2021 (SFWSC)において、泡盛部門【最優秀金賞(ダブルゴールド)】と【ベストオブクラス】に選ばれました。
とありますが、納得の味です。
熟成をさせない、いわゆるホワイトスピリッツと呼ばれるお酒の中では個人的には5本の指に入ります。改めて残りの4本は?と聞かれても素晴らしいジンやウォッカ、ラムもテキーラもあるし、グラッパもオー ド ヴィー ド フリュイ(フランスのフルーツブランデー)にも忘れがたいものがあるため難しいのですが、それでもこのイヌイは美味しいです。
分類上、泡盛であることに間違いはないのですが、ティスティンググラスなどで楽しんでいると上質なアグリコール ラムを飲んでいるような気になります。
実際、生産者の方も泡盛というよりはラムやテキーラをバーで楽しむ方向けに作ったと言いますが、そういうお酒にあることに疑いはありません。泡盛はロックでじっくり飲むかや水割りでグビグビ飲むかと言う楽しみ方ばかりしていましたが、こんな泡盛もあるとは思いませんでした。
製品名に入っている「イヌイ菌」とは戦前の泡盛製造に使われていた黒麹とかで、口当たりは柔らかくも力強く複雑、芳醇。アルコール度数44°というのも絶妙な調整だと思います。低ければインパクトに欠け、高すぎればこの芳醇な香りが吹き飛ばされてしまいます。
かつて漫画の美味しんぼで
「素晴らしい文学がある国には素晴らしいスピリッツがある。ロシア文学とウォッカ、フランス文学とコニャック、イギリス文学とウィスキー(スコッチじゃね?)、アメリカ文学とバーボン」
「酒こそ文化にスピリットを与える」
「蒸留酒=スピリット=精神。酒とは精神そのもの」
「日本にはスピリッツなど無い!」
と言っていたおっさんが泡盛の古酒(クースー)で考えを改めた話(10巻第4話)がありましたが、そのおっさんに飲ませてやりたい優れたスピリッツです。過激ですけど言ってることは嫌いじゃないので。