酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

ハウメ セラ ベガ クリスティーナ カヴァ ブリュット

ハウメ セラ ベガ クリスティーナ カヴァ ブリュット
  • 生産国:スペイン/カタルーニャ
  • 生産者:ハウメ セラ
  • 輸入元:ユーラス

saito0701.hatenablog.com

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saito0701.hatenablog.comこれら同様、ロピアの自社輸入ワインです。通常598円(外税)のようですが2本で1000円ほどだったので、ロゼとセットで購入。


カヴァはスペインを代表するスパークリングワインですが、時々ネットショップや酒屋などでシャンパン同様の製法」と謳っているのを見かけますが違和感があります。

 

発泡性ワインの作り方は大きく分けて以下のようなものがあります

 

  • 瓶内二次発酵(メトード トラディショナル)

シャンパンの製法。ワインを瓶詰したところに酵母と糖を入れて王冠をして二度目の発酵を行うことで炭酸ガスを加える。その後王冠と一緒に発酵で生じた澱を取り除き、栓をする。一番手間暇かかるが、味、ガス圧ともにしっかり。スペインのカヴァやフランスのクレマンもこの方式。

  • シャルマ方式

大型の密閉タンクで二次発酵まで行い、スパークリングワインになったものを瓶詰。手ごろにできるため、かなり広く使われる。イタリアのアスティなどもこれ。

基本的にトラディショナルと同じだが、瓶内二次発酵させたスパークリングワインを密閉タンクに移してまとめて澱引きして新しい瓶に詰める。澱引き以外はトラディショナルと同じため、質は高いがコストは削減できる。一部のドイツのゼクトなど。

一番低コストで雑な仕上がり。もちろん安い。

  • 田舎方式(メトード リュラル)

トラディショナルとほぼ同じだが、この方式で行う生産者は澱引きをせず、ワインに糖と酵母を加えて終わりにするため、澱がそのまま残ってるところが多い。偏見ですが自然派に多く、泡はそこまで強くないが自然なワインの味わいが楽しめるものが多い印象があります。

 

どれも一長一短あるので、どれが良く、どれがダメということは無いのですが、カヴァの炭酸ガスの付与の仕方だけで「シャンパン同様」は誇大広告です。シャンパンは1haあたりのブドウ収量やそこから搾り取っていい果汁、最低熟成期間にブドウ品種や生産地域など細かい規定が盛りだくさんです。通常のカヴァももちろん規定はありますがシャンパンより緩めです。

 

とは言えカヴァもスタンダード品はシャンパンより緩いのですが、最も厳しいカヴァのカヴァ デ パラヘ カリフィードはヴィンテージ シャンパン並みに厳しい規定があります。

 

前述のシャンパンの収量ですが、ブルゴーニュの生産者からすると「多すぎるし、年によって1haあたりから作っていいワインの量を変えるのは商業的すぎる」という批判があることも付け加えておきます。

 

シャンパーニュはまぁまぁ闇の深い部分がある(ドイツとの戦争でめちゃくちゃ人が死んでる土地だったり、偽物が出回りまくったり、ブルゴーニュと仲が悪かったり)ので複雑な歴史が複雑な規定を生んでるところでもあります。

 

カヴァがシャンパンに劣るって話では無く、炭酸ガスを加える過程だけ見て「シャンパン同様」は浅はか過ぎると思います。私はカヴァとシャンパンは別のワインと認識してますが、どうしても比べたい販売者はこれらの規定も比較したうえでそのように謳ってください。

 

前置きが長くなり過ぎましたが、このカヴァ、安いがゆえに画像で見て取れるほど泡が雑で大きめです。比較的泡が大きなシャンパンのゴッセですらここまで大きくありません。ガス圧はしっかりしてますが、口に含んだ時のきめ細かな泡や酸はまったく期待しないでください。

 

期待してなかったのでキムチ鍋に合わせましたが、味の雑さと相まって意外といい感じです。繊細なシャンパーニュでは台無しにあるペアリングですが、このカヴァなら悪くありません。

 

スパークリングワインは瓶を厚くしないとならないし、通常のワインよりひと手間かかる分、やや高めの価格設定で当然ですが、それでもこの500~600円というのは驚きの価格です。価格を考えれば申し分ない1本だと思います。