酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

グレイス グリド甲州 2021(2日目)

saito0701.hatenablog.comこれの2日目です。

 

栓をして冷蔵保存で2日目の様子を見るという私の飲み方では、元々白は良くも悪くも変化しにくいものですが、こちらのワインは芯がしっかりしているせいか、初日より劣るところはほぼありません。とは言え秀逸なブルゴーニュのように少し柔らかくなり違う表情を見せるという事もありません。

 

2日目は豚ロースの味噌漬けと合わせましたが、まずまずの相性です。はやり不思議と日本的な味付けには問題なく合います。

 

このワインを作っている中央葡萄酒は現在の社長の三澤茂計氏の娘である三澤彩奈さんが醸造責任者を務めていますが、家業をなんとなく継いだというものではありません。

 

まず入社に当たり、社長である父から「地獄へようこそ」という激励から始まり収穫、醸造を学ぶため、各地で修行していますが年中修行できるように北半球のワイン生産者が落ち着ける冬~春は南半球のワイナリーに行き、そこで収穫~醸造を学ぶという生活を送っていたといいます。ご存じの通り南半球は季節が逆転しますので北半球の春は南半球の秋です。

 

こちらの噂を本人に確認したところもうあんな生活は無理ですね、、、」と遠い目をされてました。よほど過酷だったのでしょう。現在でも収穫期はトイレすらままならないと聞きます。

 

現在の中央葡萄酒の甲州はこの2000円程度のグリド甲州ですら、ブルゴーニュを引き合いに出すほど洗練されていますが先述の話を伺った数年前は甲州を試験的に高畝で育てることを始めている」と語っていました。

 

高畝(たかうね)をご存じでない方はちょっと検索してみてください。要するに盛り土での育成で野菜では珍しくは無い手法です。土の表面積が広がるため水はけが良くなるという事が狙いでしょう。海外のブドウ畑を見ても高畝でやっているところは記憶にありません。国内では比較的降水量の少ない山梨ですが、よりブドウの樹に水分を与えず、凝縮した甲州が収穫できるかもしれません。

 

海外のワインに負けじと日本のワインは進化を続けています。輸入ワインの価格が上がり続けている今こそ改めて注目すべき産地は日本かもしれません。