酒屋の宅飲み

酒屋に勤めるサラリーマンが自宅で飲むお酒のレビュー

ヴィーニャ デル ペドレガル アベス デル スール ソーヴィニヨンブラン

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ヴィーニャ デル ペドレガル アベス デル スール ソーヴィニヨンブラン
  • 生産国:チリ
  • 生産者:ヴィーニャ デル ペドレガル
  • 輸入元:モトックス
  • ブドウ品種:ソーヴィニヨンブラン

輸入元のモトックスは1915年創業の歴史ある酒類専門商社。ワインが中心ですが清酒や焼酎、輸入のジンやグラッパなども取り扱う独立したワインのインポーターとしては最大手では無いでしょうか?

 

得意な価格帯はコスパに優れた800円~2000円クラスのワイン。驚くような名門やマニアックな生産者はあまり得意ではないようで、取り扱った実績はあっても長続きせず手放してます。その一方でボルドーのグランヴァンも幅広く取り扱いがあり、そこそこ良心的な価格です。オーパスワンは激安ですが、数がそろいません。

 

また、取り扱う国の幅広さも特徴的で、インポーターごとに得意としている国があるのですが、モトックス一社でワイン生産国の主要ワイン生産国のほとんどを賄えます。試飲会に行くと試せるワインは100種を軽く超えますので全部試そうと思うと結構疲れますね。一社でやる試飲会としては最大規模の試飲会を関東では新橋のホテルでやるのですが、大手だけに来客者も多く一層疲れますが収穫が多いのも事実です。

 

そんなモトックスの定番リーズナブルワインの代表格がこのデル スール。通販でも600円程度で購入できる、気楽に楽しめる価格と味わいです。ちなみにこのワインはロット条件と呼ばれる購入数量に応じた値引き価格が設定されているため、低価格ワインなのに店舗により価格差があります。購入の際はよくお店を選びましょう。

 

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盛り付けがアレですが、スペアリブです。スペアリブに香ると嬉しい香草っぽい香りをワインに求めたのですが、デル スールが青臭さよりはフルーティーで飲みやすいタイプの味わいだったので想像したほどは合いませんが、脂っぽさはキレイに流してくれます。味わいも軽く、余韻も短いのでどっちかというとトマトの方が合いました。バジルとトマトは相性いいですしね。

 

とはいえ、固い口当たりとワイルドな味のスペアリブ(グリル)はクリーンなマールボロのソーヴィニヨンブランや繊細なサンセールとはイメージが合いません。雑で青臭いソーヴィニヨンブランが良かったかもしれません。フルーツが入っていても違和感のないサラダなどといいワインでしょうか。

ヤッホーブルーイング よなよなエール

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ヤッホーブルーイング よなよなエール

クラフトビールについては

saito0701.hatenablog.comこちらで簡単に触れましたが、今も続くクラフトビールのパイオニアエチゴビールなら最大手はこのヤッホーブルーイングです。業務提携によりキリンビールが販売するようになってからあちこちで見るようになりました。これも単なる協力ではなく、ヤッホーの親会社である星野リゾートからヤッホーブルーイングの株の一部をキリンが購入したことによるものですので、まぁまぁガッチリやってます。

 

キリンという会社が一般の方からどう見えるか知りませんが、三菱傘下のせいかビールも飲料もお堅い印象です。まるで公務員のような営業の方を何人も見ています。ヤッホーとの業務提携も2014年ですから、今に続く第三次クラフトビールブームの前の話です。ディアジオとも業務提携したり先見の明もあり、大ヒットチューハイの氷結や小容量でバラエティ豊かな生ビールシステム

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キリンビールHPより

こちらのタップマルシェなど、商品開発力も高いのに今一つ販売力が振るわないメーカーという印象です。真逆を行くのがサントリーですね。「何だこれ?」とか「パクりじゃん」という商品でも体育会系のノリと営業力で売り切る力を持ってます。

 

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盛り付けが微妙ですがギョーザにも問題なく合います。独身時代バス ペールエールとケンタッキーをフィッシュアンドチップの要領で合わせていたため、ペールエールはジャンクと合わせたいのですが、ビールですから細かいこと考えなくても美味しく飲めます。エールのコクは苦手な人もいますが、日本のメーカーが作る一般的なピルスナースーパードライ一番搾り黒ラベルプレミアムモルツは全部ピルスナー)とはことなる楽しみ方がありますでの、一度は挑戦してほしいものです。昔はクラフトビールはどこででも買えるものではなく、変わったビールを飲みたかったら通販か割高な輸入ビールしか選択肢が無かったのですが、今ではスーパーやコンビニに並んでます。

 

コロナや増税なども向かい風もありますが、酒飲みには選択肢が豊富ないい時代とは思ってます。

ザ グレンリヴェット 12年

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グレンリヴェット 12年

ディアジオに次ぐ業界大手、ペルノが所有する蒸留所筆頭がこのグレンリヴェット。ちなみに3位はサントリーですからまぁまぁ驚きです。ビーム社買収がやはり大きかった。酒類で言えばビールのアンハイザー・ブッシュ・インベブバドワイザー、コロナ、ヒューガルデンなど)がさらに大きく上です。

 

スコッチを語るうえでなくてはならない蒸留所です。というのも1820年ごろまでウィスキーと言えば密造酒という時代(そもそもウィスキーが樽で熟成されるようになったのも、樽に隠してたら美味しくなっただけ)だったのですが、それに終止符を打ち、政府公認第一号の蒸留所になったのがこのグレンリヴェット。その上、品質があまりに良く、名前もゲール語で「静かな谷」とかリヴェット川が流れる谷(グレンは谷を意味する)という意味で誰もが名乗りやすく、グレンリヴェットを勝手に名乗ったため、他と区別するために定冠詞Theを付けた蒸留所がコレ。本物があるから偽物がいるってことですね。これほどTheがふさわしい固有名詞も無いんじゃないでしょうか?

 

スペイサイドモルトらしく、甘い香味と柔らかな口当たりを持ちます。山崎やマッカランが好きな日本人好みの味では無いでしょうか?銀座のとあるバーでは酒質はいいが高級品ではないというバランスの良さから、カクテルベースに使うお店もあります。

 

昨今のシングルモルトブームのおかげで様々なモルトが値上がりしている中で、比較的サラリーマンにも入手しやすい価格と販路です。正直10年ほど前より味が落ちた気がしますが、これに限った話ではありません。それこそマッカラ〇など酷いものです。値上がりして味は落ちているのですから買う気になれません。スタンダード以外の免税店向けの物をたまに楽しむくらいです。

 

かつて、キリンが富士山麓を発表した時に「この味はこの価格で出していいものではない」と驚愕しましたが、当時ほとんど売れてなかった富士御殿場蒸留所のストックを使っていると聞き納得しました。熟成してしまった原酒を豊富に使っているからだと。

 

時代は変わり、ウィスキーは軒並み値上がりし、お酒に使える予算に限りある庶民には見定めが必要になってきました。投機でウィスキー買ってる方はホント勘弁してください、、、、、

ほろよい 夏ライチ

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ほろよい 夏ライチ

これまた捨て値で売られていたため購入した夏商材。ライチは子供のころにレッドロブスターのサラダバーで食べてからすっかりお気に入りに果物だったのですが、今ほど手に入らず、こういったライチ味の物も無かったため特別な味でした。

 

母は「れいし」と発音していたものの、サラダバーには「ライチ」と表記されていたため、母は何かを間違えて覚えたのだろうと子供ながらに思ったのですが、母の方がよほど良く物を知っていました。

 

ライチは日本では九州などの特に温暖な地域でしか栽培されていないため問題はないでしょうが、未熟果は人体には毒(ヒポグリシン)ですので子供は注意です。

 

日本ではあまりなじみのないマイナーな果物だと思ってましたがキリンのソルティライチあたりで流れが変わったような気がします。一時の勢いはありませんが、駅などのゴミを見て何が売れているか調べることがありますが、ちょっと前に渋谷駅などで夏では結構な量のソルティライチのペットボトルが捨てられていたので、自分の想像以上に売れていると感じたことがあります。

 

こちらは生のライチのような上品な甘さはありませんが、ライチっぽさはちゃんとあります。何本も飲むもんじゃありませんがたまには悪くないお酒です。

ヴァッレ レアレ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2019(2日目)

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ワインから料理まで同じ2日目。豚肉の西京焼きはお徳用だったので夫婦そろって同じ夕食です。

 

ワインをできるだけ翌日も同じ味わいで楽しみたい方はバキュバンのようなできるだけ瓶の中の空気を抜ける栓がいいのでしょうが、私は2日目の様子を見たいので、ただの栓を使い、冷蔵庫で保管。翌日飲む前に少し室温に戻します。

 

ブルゴーニュの名門や固めのボルドー、カオールなどはこの保存方法で2日目の方が美味しかったりする一方で、大半の低価格のワインはやはり開けた直後が一番美味しいです。これから解禁となるボジョレーヌーヴォーなど2日目には非常に顕著に味が落ちます。

 

こちらのレアレは2日目にわずかに開いた部分もあれば、香りが少し弱くなったので差し引き2日目も悪くありません。でも、間違いなく抜栓後24時間が限界でしょう。

 

ちょうどインポーターの方と話をする機会があったのでこのワインがあまり店頭に並んでいるのを見たことが無く、どこに良く出荷されているのか聞いてみたところ

「正直に言うと(在庫が)ダブついてます」との事。私は好きですが、ラベル、味ともに価格に対してインパクトに欠けるのでしょう。対極にあたる売れてるモンテプルチアーノとして

ファルネーゼのカサーレヴェッキオがあります。設定上、価格はレアレとあまり変わりませんが、販売量が違いすぎるためか実勢価格はカサーレヴェッキオの方が安いですね。どこででも売ってる分、安くしないと売れません。

 

同じモンテプルチアーノダブルッツォですが、味わいで比較するのは無理があるワインです。同じ価格だからとスポーツカーとファミリーカーを比べるようなものです。そもそも方向性が違うのですから。

 

カサーレヴェッキオは強いインパクトのある飲み口ですが、余韻は決して長くありません。濃くは感じますがすいすい飲めてしまいます。酸味が穏やかだからでしょう。ですから、「自分が主役」というタイプのワインです。

 

レアレはあくまでも食中酒向きの味です。強くも弱くもなく、たいていの料理に無難に合わせられる芯の強さを持ちます。かといって、料理を差し置いて主張するようなワインでもありません。

 

嗜好品ですから、最終的には好みになります。私はどちらも好きです。要は使い分けというところです。走りが好きならスポーツカーでしょうし、家族でお出かけならファミリーカーです。

ヴァッレ レアレ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2019

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ヴァッレ レアレ モンテプルチアーノ ダブルッツォ 2019
  • イタリア/アブルッツォ州
  • 生産者:ヴァッレ レアレ
  • ブドウ品種:モンテプルチアーノ
  • 輸入元:ファインズ

saito0701.hatenablog.com先に格上のワインをブログにアップしましたが、こちらがスタンダード品です。きっかけは私が仕事中に誤って発注してしまい、返品も面倒だったので買い上げたのですが、これが大変気に入って、年に何度か飲んでいる我が家の定番です。色々なお酒を飲んでみたい私にとって、年に何度か購入するお酒なんてほとんど無いんです。

 

価格帯は2000円弱ですので、デイリーワインと呼ぶのは少し無理がありますが、1~2本ワインを開けるのを我慢すれば問題なく購入できるワインです。

 

味わいは一言で言えば「まっすぐ」。きれいで無駄がなく、筋の通った味わいです。派手さはまるでありませんが、普段の食卓に合わせるワインとして安いチリやアメリカのワインよりもはるかに完成されている1本です。

 

しかも、畑は現在ビオディナミへ転換中ですからさらなる品質の向上が期待できます。ビオディナミはどこか宗教染みており、賛否両論ですが私自身は賛成です。「ビオディナミであればいい」とは思っておりませんが、目に見えないものを感じ、信じることは大切です。星の王子様でも「いちばん大切なものは目には見えない」とキツネが教えてくれています。

 

ビオディナミはそもそも非常に手間暇かかる農業法ですから、ここまでやれる生産者の畑は大抵しっかりとした手入れがなされているもんです。ですからビオディナミだからいいのか単に手入れが行き届いているからいいのかわからないところですが、ビオディナミについて語ると長くなりすぎますので、今後ちょっとずつ書いていきます。

 

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スーパーで安かった豚肉の西京焼きと自宅で収穫したナスの炒め物です。ナスは鮮度が良かったので塩コショウと思ったのですが、ワインを考えてこのあとケチャップをかけました。

 

なんてことない日常の食卓にしっかりと馴染みます。食事を美味しくし、ワインもただの引き立て役に終わらない、絶妙なバランス。ちょっと贅沢なデイリーワインとして申し分のない1本です。地味なラベルと普通の酒屋では取引自体が難しいインポーターのため、店頭に並ぶことが少ないことが残念です。

 

ほろよい 冷やしパイン

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ほろよい 冷やしパイン

「今、夏限定の缶チューハイ?」と思われるかもしれませんが、今です。何故なら捨て値で売られるからです。別に野菜や果物、鮮魚じゃないので、旬を過ぎたところで味は変わりません。宅飲みの重要な要素として「価格」があります。

 

ほろよいはまぁまぁ好きです。ある意味、世界の低アルコール指向を先読みしていたかのような商品です。10年近く前から徐々に様々なお酒が低アルコール商品をリリースしてましたが、ワインと日本酒は知る限り成功した商品はありません。

 

今ではそのブームがコロナの影響もあり、「微アルコール」のサッポロ ドラフティ(アルコール度数0.7%)やアサヒ ビアリー(アルコール度数0.5%)と言った商品が出ていますが、先んじた商品はほろよい以外で成功したといえるほどの商品はありません。アメリカではハードセルツァー(炭酸水のように飲めるお酒、甘くなく、低アルコール)という言葉もありますが、日本ではほぼ浸透していません。

 

職業柄、真剣にお酒に向き合う時間は多いのですが、宅飲みで毎度毎度、真面目にテイスティングしていれば疲れます。やれば分かりますが、1時間程度の時間にワインを100種もテイスティングすると、最後のほうは舌が疲れ切ってます。最後に飲むモスカートダスティ(マスカットの甘い微発泡ワイン)の美味しいこと!ほろよいはそんなリラックスさせてくれるお酒です。気が抜けており、画像も気が抜けてます。

 

売店ではキチンとスケジュールを立てて、この手の季節限定品を予約して店頭に並べるのですが、飲食店向けの業務用では突然お客さんが「アレ欲しい」という要求を受け、メーカーに問い合わせると「事前予約しないと無理。余ったら出せます」という面倒な品を頼み込んで分けてもらうのに、最後にはその小売店で叩き売られているのを見ると泣けてきます。